フィンランドの罰金 フィンランドの罰金


 アメリカではアクチュアリーは人気職業ランクの上位に入るのでよく知られています。 アメリカのアクチュアリーは会社の経営者やコンサルタントなど実務面で活躍している人が多く、収益性やリスクの回避など実践的な議論を好みます。

 これに対して一般的に欧州のアクチュアリーはアカデミックな議論を得意とし、論文なども純粋学問的なものが多い傾向があります。 特に北欧は公的年金や保障制度が発達しているせいか政府で働くアクチュアリーも多く、なるもの難しいとされています。 そして北欧のアクチュアリーというのは非常に社会的地位が高いとされるのですが、一般人にはその存在があまり知られていないようです。

 以前、東京で日本アクチュアリー会創立100周年記念行事として国際アクチュアリー会のコンファレンスが開かれたときのことでした。 晩餐会で同じテーブルにフィンランドのアクチュアリーがいました。 私がアクチュアリーは海外ではよく知られているかもしれないが、 日本ではほとんど知られていないという話をしたとき、フィンランドのアクチュアリーがこんな話をしました。 自分は先日スピード違反でつかまったのだが、アクチュアリーはあまり知られていない職業なので助かったというのです。 フィンランドでは罰金はその人の職業で決められるそうで、大金持ちの場合はスピード違反だけで数千万円の罰金になることもあるそうです。 警官は職業別罰金リストの中からアクチュアリーを探したのですが、どこにも載っていなかったため最低ランクの罰金を課したのです。 しかし、彼曰く本当はアクチュアリーは高収入なので罰金は最高ランクなのだそうです。

 罰金というのは制裁ですから、金持ちから多少の金をとっても何の制裁にもならないわけで、 フィンランドの罰金制度というのはなかなか合理的だと思います。 日本では法律を決める人自体が高収入なことが多いのでこういう制度には絶対ならないと思いますが、 北欧では国会議員は一般的に金持ちではないそうです。 パンと牛乳を片手にもって自転車こいでいる若者がいたら、そいつは国会議員だというそうです。 日本人が
「じゃあいったい何のために国会議員になるのですか?」
と聞いたら逆に
「じゃあ、日本では何のために国会議員になるのですか?」
と聞き返されたとのことです。